「今月のことば」…最近話題の環境・エコ・省エネに関することばを解説します。

今月のことば:サンゴの白化現象とは?

近年、世界各地でサンゴの白化現象が発生しています。世界遺産に登録されているオーストラリアのグレートバリアリーフは、2016年および2017年と、2年連続で大規模な白化現象が起き、日本の国土の3分の2にあたる面積が被害を受けました。日本でも、2016年に沖縄県の石垣島と西表島の間に広がる国内最大のサンゴ礁域「石西礁湖」が、大規模な白化現象に見舞われました。

サンゴは熱帯や亜熱帯の海岸を縁取り、人はそこを漁場やレクリエーションの場として利用してきました。また、サンゴは天然の防波堤として波をさえぎったり、海岸を浸食から守ったりしています。緯度が高くなり水温が下がると、サンゴはサンゴ礁を形成しなくなりますが、日本では日本海側では新潟県佐渡島、太平洋側では千葉県までサンゴの分布が確認されています。サンゴ自体は動物ですが、褐虫藻(かっちゅうそう)と呼ばれる藻類を体内に共生させ、その光合成生産物に依存して生きています。褐虫藻の数はサンゴの表面積1平方センチメートルあたり200万~400万個という膨大なものです。サンゴの白化は、環境ストレスにより褐虫藻の光合成系が損傷し、サンゴが褐虫藻を放出することにより起こると考えられています。このとき、サンゴの白い骨格が透けて白く見えるため、白化現象と呼ばれています。環境ストレスから回復すれば褐虫藻を再び獲得し、サンゴは健全な状態に戻りますが、白化が長期間続くとサンゴは死に至ります。

それでは、サンゴを白化させる環境ストレスとはどのようなものがあるでしょうか。よく挙げられるのは高水温です。サンゴの棲息に適する水温は25℃から28℃といわれており、30℃を超える水温が続くと白化します。水温の上昇にくわえ、陸の人間の活動がサンゴにストレスを与え、白化の被害を大きくします。雨で海に流れ出た赤土などが降り積もってサンゴが窒息するほか、農業用の除草剤が流れ込んで、褐虫藻が光合成をしにくくなります。また、プラスチックに代表される海洋ゴミ問題もストレスの一因と考えられています。地球温暖化や環境問題の影響は、こんなところにも現れています。

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