ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)のそれぞれ英語の頭文字をとった言葉です。すなわちESG投資とは、企業の売上高や利益などの財務指標だけに注目するのではなく、ESGを企業評価の指標として重視し、投資する手法です。企業活動の中にESGを意識している持続可能な企業は、そうでない企業と比べて最終的に売上高や利益などを上げられるという考えに基づくものです。
ESG投資の始まりは2006年からといわれていますが、ここにきて少しずつ変化が表れてきました。これまでは長期的な利益につながるとの考えのもと、機関投資家がESGを重視した投資をしてきました。ところが最近ではESG重視の考えを個人投資家も取り込み始めてきているようです。機関投資家は自ら企業のESGを判断して投資しますが、個人投資家にとってはプロが銘柄を選んだ投資信託の購入がESG投資として広がっています。実際、2020年4月から6月までのESGに関連する投資信託への純資金流入額は世界で約780億ドル(約8兆円)と、過去最大になりました。また、7月以降もこの流れは日本に波及しており、日本で7月に募集が始まったESG関連の投資信託には、3,830億円もの資金が集まりました。これは新規に募集を開始した投資信託の設定額としては、歴代2位の規模とのことです。新型コロナウイルス感染症拡大を機に、環境や社会に配慮しながら持続的に成長できる企業へ投資しようという考えが世界中で高まっていると考えられます。
ちなみに、世界の大手機関投資家もESG投資を積極的に行っています。世界最大手の運用会社、米国のブラックロック社が運用するESG関連の米国株上場投資信託(ETF)には2020年4月から6月で24億ドルの資金が流入し、前年同期の約40倍にも上っています。また、国内では年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2020年3月末までの1年間でESG指数に基づく株式運用残高を2兆円増やしています。
今後もESGを重視した投資基準は重要性を増していくものと思われます。皆さんも長期スタンスで株式投資をするなら、ESGを意識してみてはいかがですか。
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ESG投資ってどんな投資手法なの?
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