琉球黒糖株式会社[Case477]
見える化がもたらした省エネの成功ポイント
空調のオン・オフを徹底し、デマンドコントロール
手づくりの黒糖を製造する際に、品質維持のため作業工程ごとに分かれた部屋に設置された除湿器は止められず、また温度管理のため空調の設定は変更できなかった。そこで、デマンド値が確定する前の少しの時間、順番を決めて空調を切ることで効率的な空調管理が実現した。契約電力は約29%低減。そのほか繁忙日には大型の個包装機の立ち上げをピーク時間帯からずらすような工夫もしている。
・手仕事の現場に導入した電気の「見える化」
・空調のオン・オフによるデマンドコントロールが基本
・取り組みの継続とともに従業員の理解も浸透
■ 導入効果
手仕事の現場に導入した電気の「見える化」
沖縄県糸満市で黒糖の製造・販売を行う琉球黒糖株式会社は、県内最大級の生産体制が整った黒糖加工会社だ。手作業にこだわった昔ながらの製造方法を守っている。サトウキビを高温で煮詰め、型に流し込んだ後、自然冷却で固める。製造現場内の温度と湿度が品質に影響するため、デリケートな空調管理が必要だ。省エネできる箇所は限られているように思えたが、社員への意識付けのため電気の「見える化」を導入した。
空調のオン・オフによるデマンドコントロールが基本
作業工程ごとに分かれた各部屋に設置された除湿器は品質維持のため止められない。特に煮詰めと自然冷却を行う部屋では温度管理も重要。空調の設定は変更しないのが基本だ。まずは警報が鳴った際に空調を切る順番を事務所、倉庫、最後に現場と決めた。それもデマンド値が確定する前の少しの時間だ。「取り組みを始めた直後は現場で作業を担当していましたが、空調を切るなんて!という思いでした」(企画営業部長 金城幸英氏)。最初は戸惑いもあったが、担当営業による勉強会などで電気料金の仕組みを理解してからは協力を惜しまなかった。
取り組みの継続とともに従業員の理解も浸透
こまめな空調管理で契約電力は約29%低減。冬に下げたデマンドの設定値はその後も継続する。警報回数は春から次第に増えるが、できる限り設定変更はせず、夏に向けて徐々に設定値を上げる。設定値も前年を超えないようにしており、繁忙日には大型の個包装機の立ち上げをピーク時間帯からずらすような工夫もしている。
2018年に追加導入したSMART CLOCKにより、電力の使用状況を全従業員がその場で確認できるようになった。当初の導入目的だった従業員の意識付けはさらに浸透し、よりスムーズな省エネ活動につながっている。
Comment コメント
コロナ禍により県内売上が激減したため、県外向けや全国の生協への販売などに注力し売上を確保しました。また、新たに食品部を立ち上げて地元企業から食材を仕入れ、沖縄てんぷらなどを販売しています。この活動は本業と同様、地元や地域で働く皆さんの活力になれば、という想いで続けています。
企業概要
事業内容 加工黒糖の製造・販売 | |
従業員数 30名 | |
所在地 沖縄県糸満市 |