現場に合わせた個々の省エネ活動を実施

医療法人健美会 佐々木病院さまの導入事例 [Case 359]

 

 福岡県北九州市にある佐々木病院は、循環器、消化器などの内科を中心に、整形外科や皮膚科といった専門外来も併せ持つ医療施設。地域住民の健康と生活の質向上を目指し、在宅療養支援やデイケアにも力を入れる。患者さんへのサービスを第一に考えながらも病院全体で進める省エネ活動の様子を、医事課課長の貞末文生氏と係長の黒田大作氏に伺った。


見える化がもたらした省エネ成功のポイント

外気が通りやすい環境で空調効率を上げる!
院内は構造上、冷たい外気が通り抜けやすい。風が流れ込むのを防ぐビニール製のアコーディオンカーテンを設置し、空調の稼働効率を上げた。また、正面玄関にある二重の自動ドアが同時に開かないように設定を調整し、外気がなるべく入り込まないよう工夫している。さらに省エネ効果の高い空調へと入れ替え、現場のスタッフが空調の温度や稼働台数を適宜調整するといった対策を講じ、省エネに努めている。
・基本料金は30分で決まる
・現場に合わせた省エネ活動
・適材適所の防風対策
・さまざまな波及効果

■ 導入効果

導入時期2013年11月(取材時期  2016年4月)
契約電力149kW(2012年)⇒130kW(2016年)
12.7% DOWN!
使用電力量58万1,760kWh(2011年4月~ 2012年3月)
⇒ 50万113kWh(2015年4月~ 2016年3月)
14.0% DOWN!

基本料金は30分で決まる

佐々木病院が省エネ活動に本格的に取り組むようになったのは、2013年11月のSMARTMETER ERIA(以下、ERIA)とSMART CLOCKの導入がきっかけだった。以前から電気代に対する意識はあり、空調の温度設定などは決めていたものの、それ以上の取り組みには進んでいなかった。貞末氏は「デマンドの仕組みを聞いて驚きましたが、年間の基本料金が30分の間で決まるということは、そこに注力すれば電気代を低減できると納得しました」と導入前を振り返る。
 省エネ活動には各部署の協力が必要だ。ERIAは事務室に、SMART CLOCKは、2、3階の各病棟・透析室・デイケアルームの4ヶ所に設置し、導入当初には日本テクノの担当者による勉強会も開催。デマンドの知識とその対策を院内に浸透させていった。

現場に合わせた省エネ活動

 電力ピークは2月。ERIAとSMARTCLOCKの警報が鳴ると、それぞれの部署で支障のない空調・照明を切ってデマンドを抑える。「病棟にはSMART CLOCKの色の説明と一緒に、ピーク時にOFFにする設備などが手書きで書き込まれています」と黒田氏。「ナースステーションと廊下のエアコンをOFFにする」「患者様がいない時は談話室の照明とテレビを消す」など、各階の状況に合わせた対策内容だ。また、SMART CLOCKが設置されていない薬局などいくつかの部署にも事務室から協力要請の電話を入れる。
 デマンドピーク時以外にも、リハビリ室では、「昼休みは消灯する」「業務終了後はリハビリ機器のコンセントを抜く」。透析室では、「更衣室・食堂は使用していない時は消灯する」「業務終了後はパソコン・テレビのコンセントを抜く」など、それぞれのルール決めにより、現場に適した省エネ活動が実施されている。

適材適所の防風対策

 病院の正面玄関には、外気の侵入を防ぐための工夫が見られる。ひとつは、受付横のアコーディオンカーテン。冬場は患者さんの通れるスペースだけを開けて玄関からの風が院内に入らないようにしている。黒田氏は「簡単に開閉できるタイプのものを選びましたので季節によっては全開にして、患者さんにも迷惑がかからないよう配慮しました」と話す。さらに入り口の自動ドアと、それに続く2つ目の自動ドアの開閉のタイミングをずらすことで、両方が同時に開かないように時間差をつけた。これも風が通り抜けないようにするための工夫だ。同様に、病院の裏口にある救急入り口にはビニールカーテンを設置。通常は人が通れるスペースのみを開閉させるが、救急車両が入るときは、すべてを開放して車の移動に支障がない状況をすぐに作ることができる。

さまざまな波及効果 

 各部署の協力とともに、使用時間の長い場所はLEDへ入れ替え、トイレの照明を人感センサー付きにするなど、設備改善も進めている。「今年の3月に廊下の床を剥離清掃したところ、これまでと同じ照明の数でも驚くほど明るくなりびっくりしました。階段なども徐々に進めていきます」と黒田氏。思わぬ波及効果に省エネへの視点がさらに広がる。また先日は、看護部のスタッフから消耗品のコスト削減への新たな提案があったといい、院内全体のコスト意識にも変化を感じるという。

 今後も患者さんに迷惑のかかる省エネはしない、とその方針を話す貞末氏と黒田氏。患者さんへのサービスの質を保ちながら省エネ活動を進めていくことが何よりも大切だ。


お話を伺ったのは

医事課 貞末氏(左)と黒田氏

企業概要
開設1927年
事業内容病院
従業員数150 名
所在地福岡県北九州市
TEL093-617-0770
URLhttp://sasaki-hsp.jp

省エネの達人『企業編』でも放映されました!

テレビ番組 省エネの達人『企業編』で取り上げられました。
クリックで動画再生します。(4分00秒)



この記事のPDFをダウンロードする。
(フォーム送信後に資料をダウンロードいただけます。)
ダウンロード

商品・サービスの詳細や導入について
お気軽にご相談ください
お問い合せ
商品・サービスの詳細や導入について
資料(PDF)をダウンロードいただけます
資料ダウンロード

関連記事

  1. 店内改装で空調台数増加、電気の使い方をさらに意識する

  2. 凡事徹底の教育方針が「見える化」を後押し

  3. 省エネが生んだ介護設備・機材の充実

  4. 【小売業の省エネ】一度は下げた使用電力量 さらなる上積みを図る

  5. 徹底した見直しで、工場増設後も使用電力量を維持

  6. 全社一丸の省エネがこだわりの味を支える

  1. SMART CLOCKは麺の包装工程室に設置

    【製造業の省エネ】契約電力を前年比26.8%改善、カギはピーク分散…

    2021.09.09

  2. アドバイスで実現した 年間約100万円のコスト改善

    2016.12.20

  3. ロビーに設置したSMART CLOCKがお客様へも省エネを呼びかける

    【ホテルの省エネ】これが「見える化」効果。 お客さままで省エネ…

    2017.06.25

  4. 2_imamuraw1200

    幼い頃から時計で環境教育 「先生もう黄色だよ~」

    2019.05.09

  5. 「SMART CLOCK」効果で省エネは新たなステージへ!

    2022.04.07

  6. デマンドピークの原因は照明 「見える化」で正しい対策が可能に

    2013.05.01

  7. 【小売業の省エネ】「見える化」でよりコストへの意識が深化する

    2020.04.09

  8. 「見える化」の重要性を再認識 時間帯に応じた取り組みで省エネを…

    2014.01.24

  9. 幼児期から省エネに親しみ、SMART CLOCKに込めた環境への思い

    2012.11.01

  10. 【小売業の省エネ】省エネとサービスの両立。 一歩踏み込む勇気が…

    2019.10.10