省エネ意識が新たな工夫も生み出す

特別養護老人ホーム 鎌倉プライエムきしろ[Case278]

「鎌倉プライエムきしろ」は神奈川県鎌倉市にある特別養護老人ホーム。お年寄りの「その人らしさ」を大切に考えたサービスで、80名の長期入居利用のほか、ショートステイやデイサービスなども展開する。2013年10月、「エネルギー管理システム導入促進事業費補助金」(BEMS)を利用してSMARTMETER ERIA(以下、ERIA)とSMART CLOCKを導入した。電力ピークを中心とした省エネ対策について、施設長の田尻充氏に伺った。


見える化がもたらした省エネ成功のポイント

共有スペースに集まり、省エネに成功
 同施設は「高齢者の安心を支える」をモットーに明るい施設運営に取り組んでいる。ポイントは共有スペースの使い方。照明をLEDに換え、壁紙や床材も明るい物に変更し、入居者が共有スペースに集まって快適に過ごせるよう工夫した。個室を使わない間は照明や空調を消し、廊下などの共有部分は空調をつけておくことで冷気や暖気で大きく温度変化しないよう快適性を重視し、省エネとの両立を図った。
・空調の入れ替えが「見える化」のきっかけ
・電力ピーク時には自動的に消灯
・床や壁を白く塗り替え
・水道使用量も見える化

■ 導入効果

導入時期2013年10月(取材時期  2014年6月)
契約電力169kW(2013年)⇒158kW(2014年)
6.5% DOWN!
使用電力量40万3,273kWh(2012年11月~ 2013年4月)
⇒31万1,542kWh(2013年11月~ 2014年4月)
22.7% DOWN!

空調の入れ替えが「見える化」のきっかけ

「施設長になり4年目に入りましたが、限られた介護報酬のなかで、どうすればよりお年寄りや地域の方々に寄り添ったサービスを提供できるのか、利用率の向上や経費削減を中心にその方法を考え続けてきました」と話すのは、鎌倉プライエムきしろ施設長の田尻充氏。そうしたなかで人件費を除く経費全体の約10%を占める電気料金の低減は大きな課題のひとつだったという。
 同施設では3年前の夏、以前から使用していた全館一括型の空調が故障して、1カ月ほど空調のない生活を余儀なくされた。その後、空調を修理して使用できるようになったものの、これをきっかけに居室ごとの個別空調に入れ替える計画が進んだ。空調の台数が増えることもあり、電気料金にも影響があるだろうと考えた田尻氏。日本テクノから電気の「見える化」によるデマンド管理の提案を受け、ERIAとSMART CLOCKの導入を決めた。

スタッフ全員が見えるところに設置されたSMART CLOCK

電力ピーク時には自動的に消灯

 朝9時30分を過ぎると、田尻氏は安全確認のために施設内の見回りを行う。「以前からデイサービスや厨房が動き出す時間帯がデマンドのピークだというおおまかな予測はついていましたが、電気の見える化によりそれが実証できました。ピークの時間に合わせて、安全確認と空調や照明のチェックを行うことで、効果的な省エネ対策ができるようになりました」。さらに入居者は昼間の時間帯を共有スペースで過ごすことが多い。入居者一人ひとりの動きを把握して朝一番に個室の空調・照明を入り切りすることで、ピーク対策ではあるが、一日の使用量も大きく変わってくる。
 また同施設では、デマンド値がERIAで設定した目標に近づくと、警報とともに事務所の照明が自動的に消える。それを合図にスタッフが館内を見回り、不要な空調や照明を消していく。「少し思いきった対策ですが、わかりやすく、スタッフの意識向上にもつながっていきます」と田尻氏は話す。

デマンドピークの時間に合わせて、空調や照明をチェック

床や壁を白く塗り替え

 省エネ意識をもって館内の見回りをすることで、新たな工夫も生まれた。たとえば、入居者が長く滞在する食堂などの共有スペースや玄関は、一日を通して照明を使用する場所のため優先的にLED照明へ交換した。さらに、これまで絨毯の床だった場所では、白基調の床板に張り替えて、壁も白く塗り替えることで、光の反射を活かした明るさが生まれた。 一方で田尻氏は、スタッフ一人ひとりと電気の使い方や省エネについて話す機会も設けている。「家庭では使わない部屋の電気を消すよね。電気を点けっぱなしにして奥さんから怒られたことはない?という具合に、それぞれの生活に置き換えて施設内の省エネも考えてもらうようにしています」。あわせて施設の方針や、介護報酬制度の仕組みも伝えることで、スタッフからの理解も得やすく、省エネ活動が浸透していった。

優先的にLED照明へ交換した共有スペース

水道使用量も見える化 

電気の「見える化」に続き、2014年2月には水道に節水コマも取り付けた。施設全体で140カ所ほどある蛇口のうち、使用頻度の高い70カ所ほどを選んで導入し、約13%の水道代低減を実現した。また毎月の水道使用量を数値化したところ、その数値の変化からボイラーの故障も発見することができたという。
 今後は電気使用量のさらなる低減に努めたいと田尻氏。電気料金の値上がりを危惧した昨年の空調の入れ替えも、最新の省エネタイプ空調の導入とデマンド対策が奏功し、電力ピーク11 kW低減、使用電力量22.7%の低減へとつながった。田尻氏は「これまではピークの時間帯が取り組みの中心でしたが、デマンド閲覧サービスのグラフ機能を使って、次にピークとなる時間帯の検証や対策も考えていきたい」とさらなる展望を話す。

デマンドピークを知らせるERIA

お話を伺ったのは

施設長 田尻充氏

企業概要
開設1994年
事業内容特別養護老人ホーム
従業員数100 名
所在地神奈川県鎌倉市
TEL0467-48-2101
URLhttp://www.kpk-kishiro.com

省エネの達人『企業編』でも放映されました!

テレビ番組 省エネの達人『企業編』で取り上げられました。
クリックで動画再生します。(4分00秒)



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