リーダー会議はアイデアの宝庫
情報共有もスムーズに

社会福祉法人紬会 特別養護老人ホーム玉樹[Case261]

 特別養護老人ホーム玉樹は、「普通に暮らす幸せ」を基本理念として掲げており、職員は全員ユニホームではなく私服で入居者と向き合う。施設はユニット制を採用しており、1ユニットで10部屋、全6ユニットで計60名の入居者と、約25名がデイサービスを利用する。それぞれのユニットにはリーダーが1名ずつ配置されており、施設全体への情報共有では重要な役割を担う。全職員で一丸となって取り組む省エネ活動について、話を伺った。


見える化がもたらした省エネ成功のポイント

手づくりのインテリアが居室の保湿と省エネに役立つ
 同施設のリビングの天井には、以前部屋で使っていたカーテンを再利用し、インテリアとして活用している。カーテンを張って吹き抜けの空間をふさぐことで、天井が高く、空調の効きが悪かったリビングは空間が狭くなり、空調の効率アップにつながった。もともとのカーテン設置のきっかけは冬場の空気乾燥対策。加湿器と併用し、湿度をキープすることができた。健康管理と省エネの一石二鳥の取り組みである。
・導入当初の試行錯誤
・湿度と空調効率の改善
・省エネ意識の浸透
・省エネ活動の成果は全職員で共有

■ 導入効果

導入時期2013年6月(取材時期  2014年4月)
契約電力148kW(2013年)⇒131kW(2014年)
12.0% DOWN!
使用電力量35万3,028kWh(2012年8月~ 2013年2月)
⇒31万1,479kWh(2013年8月~ 2014年2月)
11.7% DOWN!

導入当初の試行錯誤

SMARTMETER ERIAとSMART CLOCKを導入したのは、2013年6月。導入からもうすぐ1年を迎え、2014年に入ってからは毎月、前年同月比で10%以上の低減実績を達成している。しかし、最初から順調な道のりだったわけではないと施設長の吉川真弓氏はいう。「日本テクノさんには、導入当初から勉強会を開催してもらったり、アドバイスをいただいたりしていたのですが、それをどう運用するかが、職員の中で落とし込めていませんでした」。
 施設設備や業務状況にあわせた省エネ活動を検討するために、2013年11月から介護主任を中心に各リーダーが会議を行い、意見を出し合った。「施設の特徴を考えながら、候補として挙がった取り組みを取捨選択し、1つずつ肉付けしていきました。最初は手探りでしたが、当施設に合った省エネ活動のかたちが現場職員のがんばりで徐々に見えてきました」と、事務長の佐伯光司氏も当時を振り返る。

湿度と空調効率の改善

 まず取り組んだのが、換気扇使用の見直し。「以前は24時間365日、常時点けていましたが、これを停止しました。清掃中など定期的に窓の開け閉めを行っているため、環境面での問題もありません」と吉川氏。これにより、暖房で温められた空気が外に逃げることなく、室内温度を高く保てるようになった。
 また、冬は居室における湿度の低下が大きな問題となっていた。湿度が低下すれば、インフルエンザなどの感染症のリスクが伴う。さらに、4台の加湿器をフル稼働で湿度を保っていたので、電力使用増加の原因にもなっていた。「各ユニットの天井は吹き抜けとなっているため、暖房で温まった空気が湿気とともに上に逃げていました。そこで、不要になったカーテンの布などを再利用して天井に張り、吹き抜けをふさぎました。湿度を保てるようになっただけでなく、空調の設定温度を下げても暖かい部屋を維持できるようになり、過ごしやすくなったと好評です」。

省エネ意識の浸透

 電力ピーク対策では、さまざまなルールを設けて対応した。警報時は、職員の業務スペースや共用スペースの空調を優先して止める。その際、止める場所と順番を誰もが迷うことのないよう、操作盤に色つきのシールを貼り、青は“常時稼働”、黄は“警報が鳴った時”、赤は“警報が収まらない時”と分けた。
 さらに、浴室と脱衣所の床暖房の分散稼働も実践した。「床暖房は以前、朝一斉につけるのが習慣になっており、7箇所ある床暖房の稼働が重なることが、デマンドを押し上げる原因の一つになっていました。入居者の利用状況は各ユニットで異なるため、入浴開始の2時間前に電源オン、入浴終了2時間前に電源オフとルールを決めることで、適度に分散し電力ピークの平準化に成功しました」と佐伯氏は話す。

省エネ活動の成果は全職員で共有

 リーダー会議で決定されたことは、ユニットごとに発表され、全職員で情報共有。現場から挙がった意見やアイデアも会議の場で検討される。遅番職員が退勤時に施設中を見回り、室温に異常がないか、エアコンの設定温度が適切かをチェックしてまわるという現場からのアイデアもすでに定着している。「入居者の方に迷惑のかからない範囲」というのが、すべての取り組みにおける共通認識だ。
 これまでの省エネ活動の結果、デマンドが12%低減。電力使用量で11.7%低減という実績として表れている。「省エネ活動で一定の成果をみせたのを機に、低減実績に対する感謝の気持ちとして、全職員にクオカードを配りました。ささやかではありますが、自分たちの取り組んだ省エネ活動が、しっかりと成果につながったと感じてもらえればうれしいです。これからも始めたころの気持ちを忘れずに取り組んでいきます」と、吉川氏は話してくれた。


お話を伺ったのは

事務長の佐伯光司氏と施設長の吉川真弓氏

企業概要
開設2005年
事業内容特別養護老人ホーム
従業員数90名
所在地茨城県結城郡八千代町
TEL029-649-3886
URLhttp://www.tamaki.or.jp/

省エネの達人『企業編』でも放映されました!

テレビ番組 省エネの達人『企業編』で取り上げられました。
クリックで動画再生します。(4分00秒)



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