予約状況を把握してムダなく省エネ

株式会社舟付 海鮮の宿 舟付[Case315]

 

 千葉県鴨川市にある「海鮮の宿 舟付」は、地元食材を使った郷土料理を楽しむことができる温泉宿。家族で営むくつろぎの空間に、何度も訪れるお客さまも多く、「おかえりなさい」が定番の挨拶だという。電気の「見える化」を活用したデマンドピーク対策や、お客さまの快適性に支障のない省エネの工夫を、社長の田村一成氏と、女将の田村まゆみ氏に伺った。


見える化がもたらした省エネ成功のポイント

ボイラ稼働の前倒しがピークカットにつながる
 同旅館では、朝風呂で大量の電気を使っていたことが判明した。以前は朝風呂の時間に合わせて6時から8時半までボイラを稼働し、電動ポンプを使ってお湯をタンクに送っていた。その時間帯はお客さまが起きて電気を使う時間帯と重なり、電力ピークを迎えていた。現在は5時半から7時までにお湯を準備。お客さまの動きを予測し、ボイラの稼働を前倒ししてポンプの使用が重ならないようにしたことで、電力ピークを抑えることができた。
・旅館の省エネは難しいという思い込み
・朝のデマンドピークに驚き
・客室の省エネチェックを実行
・設備改善も積極的に

■ 導入効果

導入時期2015年1月(取材時期 2015年5月)
契約電力51kW(2014年)⇒ 45kW(2015年)
11.7%DOWN!
使用電力量48,510kWh(2014年3~5月)
⇒ 44,704kWh(2015年3~5月)
7.8% DOWN!

旅館の省エネは難しいという思い込み

 「ここはお客さまにくつろいでいただく場所。そういう意味で、省エネは難しいだろうと思っていました」。株式会社舟付の田村一成氏は、SMARTMETER ERIA(以下、ERIA)導入前を振り返りこう話す。省エネよりも、快適な空間でお客さまに心ゆくまでゆっくりと過ごしてほしいという思いが強かったという。
 しかしそうした状況も、東日本大震災以降は少し変化を見せた。「お客さまも省エネに協力的でした」と田村氏。同館では『節電のお願い』と書いた案内ボードを掲示。食事処を利用している時間帯は部屋の照明を消すことや、夜10時以降は大浴場の照明をお客さま自身でオン・オフしてもらうなど、ムリのない範囲でお客さまとともに省エネに取り組んでいった。さらに2015年1月のERIA導入以降は、これに電気の「見える化」を活用したデマンドピーク対策がくわわった。

朝のデマンドピークに驚き

 ERIAの数値を確認してみると、デマンド値は冬場に朝風呂に入る7時前後が最も高く、19時半以降がそれに続く。女将の田村まゆみ氏は「数値を見るまでは、まさかピークが朝だとは考えもしませんでした」と話す。
 そこで同館では、朝のピーク時の状況を見直して、いくつかの改善策を試みた。灯油ボイラはこれまでお客さまの起床時間に合わせて6時から8時半まで集中的に稼働させていたが、30分前倒しして、5時半から7時に。お客さまが動き出す前にお湯を温めておけばピークの時間は止めても問題がなく、こうすることで、ボイラ稼働にともなって動くポンプなどの機器にかかる電気使用が抑えられる。館内の空調も5時過ぎに一度入れて室内を暖め、7時前には切り、かわりに灯油ストーブをつける。さらにピークが抑えられない時には、大型冷凍庫と下準備用の冷蔵庫を一時的に切る。庫内を保冷するため、調理スタッフに「電源を切りました」と一声かけて、扉を開けないようにすることも徹底した。夜のピーク時は、朝と同様にボイラと冷凍・冷蔵庫の対策をとることで数値を抑えた。

客室の省エネチェックを実行

 電気使用量低減に向けた取り組みも進めている。客室では、お客さまがチェックアウトすると、受付から館内放送でバックヤードのスタッフに「○号室お帰りになりました」という連絡が入る。これを合図に客室スタッフが空調や照明の消し忘れを確認し、翌日に予約が入っていない部屋ではテレビの主電源も落として待機電力を抑える。あわせて寝具などクリーニング品を回収。掃除はあとでまとめて行う流れだ。
 厨房では、下準備の済んだ料理を一時的に納めるコールドテーブルと呼ばれる冷蔵庫の使い方を見直した。予約状況に余裕のあるときは、コールドテーブルの電源を切り、大型の冷蔵庫1台のみを使用。「お客さまが30人ほど入る日もあれば、平日などは4~5人ということもあります。3日間ほど予約状況が落ち着いている場合は、コールドテーブルの電源を切るようにしています」と一成氏。冷蔵庫内を整理整頓して使用することで、稼働台数の調整はそれほど難しくないという。

設備改善も積極的に

 同館では、2年ほど前に食事処の窓をペアガラスにして、畳の下には断熱材を設置した。食事処は以前から日当たりがよかったこともあり、これらの設備改善で、冬でも昼間は空調が必要ないほど暖かくなる。女将は「昨年の11月までは個人のお客さまへ向けランチ営業を行なっていたこともあり、法事など団体の食事会は、別の広間を使用していました。これからは省エネの視点から見て好条件の揃った食事処をもっと活用していきたいと思います」と話す。 また、ロビーや階段の照明など、経年劣化が進んでいるものからLEDに入れ替えることや、太陽光発電など、さらなる設備投資も検討中だ。ERIA導入から半年ほどが経ち、デマンド値で6kW、使用量も7.8%低減の結果が出た。舟付では、今後も温かなおもてなしとともに、省エネ活動も並行させていく。


お話を伺ったのは

田村一成氏、まゆみ氏

企業概要
開設1961年
事業内容旅館
従業員数11名
所在地千葉県鴨川市
TEL04-7096-1200
URLhttps://www.funatuki.com/

省エネの達人『企業編』で放映されました!

テレビ番組 省エネの達人『企業編』で取り上げられました。
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