委員会活動を通じた省エネを実施

能勢鋼材株式会社[Case320]

大阪市旭区にある能勢鋼材株式会社は、ステンレス材を中心とした鋼材の卸売業を営む。車両部品や建築材料など、幅広い用途をもつステンレス材。同社では「日本のもの創りをステンレス・高機能材でサポートする」を経営ビジョンに掲げ、小ロット・多品種・短納期を強みに、お客さまとの信頼関係を築いてきた。


見える化がもたらした省エネの成功ポイント

「業績アップ委員会」が引っ張る省エネ活動
同社の省エネキーワードは「組織力とコミュニケーション力」。牽引するのは社内で立ち上げた「業績アップ委員会」。毎月1回行われる会議では、メンバーが省エネアイデアを出し合い、経費削減について話し合っている。なかでも重要な課題は電気代。空調の温度設定をルール化し、照明のスイッチの周りに温度を書いたシールを貼り、協力を仰いでいる。ほかにも外出時は照明やパソコンの消灯、工場では機械の電源切り忘れ確認などに取り組んでいる。
・保安管理と省エネ活動
・担当者が省エネの協力を呼びかけ
・3S委員会の取り組み

・SMART CLOCKが話題に

■ 導入効果

導入時期2014年8月(取材時期 2015年7月)
契約電力54kW(2013年)⇒ 46kW(2015年)
14.8%DOWN!
使用電力量111,669kWh(2013年8月~2014年7月)
⇒ 98,940kWh(2014年8月~2015年7月)
11.4%DOWN!

保安管理と省エネ活動

 能勢鋼材株式会社がSMARTMETER ERIA(以下、ERIA)とSMART CLOCKを導入したのは、2014年8月のこと。同社総務部の森川貴文氏は、導入前の状況を振り返りこう話す。「キュービクルの保安管理については技術者さんにおまかせの状態。一方で、省エネの意識は以前から高いほうだったと思います」。
 そうした状況のなかで、代表取締役の能勢孝一氏のもとに、日本テクノからERIAを活用した省エネ対策と保安管理の提案があった。これまで結びついていなかった省エネと保安をまとめて任せられる。また、話を引き継いだ森川氏は「デマンドの値が契約料金に反映される電気代の仕組みには驚きました」と話す。日本テクノから提示されたERIA導入後の具体的な削減シミュレーションも分かりやすく、会社全体で電気の「見える化」を活用していくことが決まった。

電気の見える化で保安管理と省エネ対策を実現する同社

担当者が省エネの協力を呼びかけ

 省エネ活動を中心になって進めるのは「業績アップ委員会」のメンバーだ。まずは日本テクノの営業担当者が講師となり、委員会内で電気代の仕組みや削減の方法について勉強会を実施。委員会メンバーの理解が深まったところで、具体的な対策の検討に入った。
 対策として、事務所では空調の設定を夏は26℃~28℃、冬は20℃~23℃と決めて、天候や気温の変化に合わせて調整していった。一人ひとりの動きに合わせて点灯・消灯ができるよう、照明にはスイッチ紐をつけた。工場では昼休みに加工機械や照明、パソコンの電源を落とす。冬場は作業場内の温度低下を防ぐため、搬入出の少ない時間帯は入口のシャッターをこまめに降ろす。さらに委員会メンバーが事務所と工場それぞれで「空調」「照明」などの担当者となり、率先して省エネ活動を行うとともに、同じ部署の社員にも協力を呼びかけた。

委員会メンバーが空調や照明の担当者として省エネを率先

3S委員会の取り組み

 業績アップ委員会のほかにも、社内の「整理・整頓・清掃」を担当する3S委員会では、照明の配置を把握するためのエリアマップを作成。色分けしたマップに合わせて、スイッチと照明本体に色紙を貼ることで、誰でも一目で不要な照明の場所がわかり、消すことができるよう工夫した。また、席を離れる際はパソコンのディスプレイをオフにして、3S委員会が作成した「節電中」と書かれた札を立て掛ける。両委員会が、それぞれの立場と視点で省エネ案を考えることで、多くの対策が提案・実行され、相乗効果も生まれる。
 そのほか、夏には空調の吹き出し口に空気を攪拌するファンを設置して、あわせて壁掛けの扇風機で部屋全体の空気を循環させる。ERIA導入後は、ピーク対策として、空調の立ち上げを時間差で行うことや、SMART CLOCKの色に合わせて空調を一時的に止めるなどの対応を行い、導入前年と比較してデマンド値で8kW、使用量も11.39%の低減を実現した。

照明の配置を把握するために掲示されたエリアマップ

SMART CLOCKが話題に

 森川氏はこれまでの省エネの取り組みについて「電気代の仕組みを理解したうえで、それに合わせた対策を考えていくことが楽しかった。またその行動がしっかりと成果として表れたこともうれしい」と話す。社内では、事務所に設置したSMART CLOCKの色の変化に注目が集まり、役職や部署の垣根を越えて「黄色になったからエアコン消しましたよ」など声を掛けられる機会が増えたという。電気の「見える化」のさらなるうれしい効果だ。
 「今後は、社内チャットを使った省エネの呼びかけなどとともに、協力してくれる社内のメンバーと、低減数値や成果を共有していきたいと思います。目に見えることが、活動継続の意欲につながっていきます」と森川氏。さらなる省エネ活動の継続・拡大をめざしていく。

色の変化で電気の使用状況を知らせるSMART CLOCK

お話を伺ったのは

総務部総務課 森川貴文氏


企業概要
事業内容 ステンレス鋼材加工および卸売
従業員数 84名
所在地 大阪府大阪市

省エネの達人『企業編』でも放映されました!

テレビ番組 省エネの達人『企業編』で取り上げられました。
クリックで動画再生します。(4分00秒)



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