お客さまの滞在エリアに合わせて省エネ

湯元天然温泉 ホテル小野浦[Case326]

 雄大な伊勢湾を一望できる湯元天然温泉 ホテル小野浦。愛知県知多半島に位置し、豪勢な海の幸と天然温泉を堪能できる。客室、温泉、展望台から、季節ごとに表情を変える海の景色を求め、たくさんのお客さまでにぎわっている。せっかくの旅行は、お客さまにいい思い出を作ってもらいたい。快適な環境を提供しながら行う省エネ活動について、代表取締役の原氏に話を伺った。


見える化がもたらした省エネの成功ポイント

お客さまを第一に考えた省エネ
18の客室すべての大型空調を家庭用の小型空調に入れ替え、定期的な清掃とメンテナンスを行った。空調温度もスタッフがこまめに調整している。また廊下や共有部分などの照明はLEDに交換。同旅館の電力ピークは17時からの2時間で、板場での食事の準備や宴会場の空調・照明がフル稼働するためだ。そこで使用する機器の電源を落とす順番をルール化することでピークを抑えた。お客さまが滞在するエリアの快適性を損なわない省エネに取り組んでいる。
・漠然とした省エネ活動
・大混乱中の電力ピーク発生
・波及する節約意識
・思いは実践してこそ意味がある

■ 導入効果

導入時期2014年8月(取材時期 2015年5月)
契約電力178kW(2012年)⇒ 110kW(2015年)
38.2%DOWN!
使用電力量471,899kWh(2011年9月~2012年6月)
⇒ 365,240kWh(2014年9月~2015年6月)
22.6%DOWN!

漠然とした省エネ活動

 東日本大震災以降の電力不足から、ホテル全体で省エネ意識をもち始めていた。ムダな電気は消すなど基本的な節電は行っていたものの、何を基準にしたらよいかわからない。漠然とした取り組みではデマンド値に大きな変化を起こせなかった。旅館組合を通じて知った日本テクノ。世間では電気の「見える化」と騒がれているが、実際に営業スタッフより説明を受けると「これは必ず下がる」と確信し、SMARTMETER ERIA(以下、ERIA)とSMART CLOCKの導入に至った。これまで夏場の昼にもっとも電力を使用していると感じていた原氏。日帰り客の昼食を部屋食対応とし、外気温が高いため各部屋で空調を稼働させていたからだ。しかし、ERIAは予想とは違う結果を出した。

フロントの壁に設置されたERIA

大混乱中の電力ピーク発生

 7~8月の繁忙期は、海水浴を目的としたお客さまが訪れ休前日や連休は満館となることが多い。板場は食事の準備を行い、宴会場は空調、照明ともにフル稼働。電力ピークは夕食時だった。そんな慌ただしい時間帯に警報が鳴った。ERIAはお客さまから見えるフロントの壁に設置されている。担当スタッフが現場に出払い、フロントは無人状態だったためピークを迎えていることに気付かなかった。「しばらく経って事務所のSMART CLOCKが赤くなっているのを発見し、急いで電気や空調を止めました」。しかし、気付くのが遅く目標値を2kWオーバーしてしまった。この経験から、ホテルとして看板であるフロントはさまざまな事態に備えて空状態にしないことを決め、改めて体制を見直した。事務所→板場→3階廊下→2階廊下の順に、空調を消し終わると警報が止む。食事が終了する時間に近付くと、再び空調を稼働させるなど、お客さまの滞在エリアに合わせて省エネ活動を行っている。板場は温度が高くなるが、無理な節電は料理の質の低下につながるため、現場に調整を任せている。

お客さまの滞在エリアに合わせて空調を稼働

波及する節約意識

 
 2009~2014年にかけて徐々に空調を入れ替える設備改善を行った。共用スペースはもちろんのこと、全客室で大型空調から家庭用の小型タイプに替え、省エネだけではなく冷暖房効率も上がった。電気料金をはじめ、節約はさまざまな場面で行われる。使い終わった油を収集し、バイオディーゼル燃料として再利用に協力、水の出しっ放しは従業員同士声を掛け合うなどしてムダを防いだ。エネルギーだけではなく、消耗品も同様の考えで、シャワーのヘッドを交換し、シャワー水量30%低減に成功した。この取り組みは、現場でベテラン社員が若手社員に指導することで共有を図った。「私からの指示がなくとも、従業員が取り組みをマニュアル化していたことを知り、省エネ意識の向上を感じました。しかし、近隣の宿泊施設と情報交換をすると、当ホテルのデマンド値はまだ高いです」と原氏はいう。これをのびしろと捉え、新たな設備改善や取り組みを計画している。自動販売機と冷蔵庫の台数を減らし、窓には遮熱塗装を検討中だ。現状の活動で契約電力68kWダウン、電気使用量22%低減の効果が、さらなる省エネ活動への意欲を掻き立てる。

シャワーヘッドの交換で節水に成功した

思いは実践してこそ意味がある

 お客さまからフロントのERIAについて「これは何ですか」と質問される。その都度エコ活動の一環であることを説明すると、それが1つのコミュニケーションとなり、省エネも意識から外れることがないという。お客さまに満足してもらい、また来たいと感じて欲しい。同社の取り組みには、旅館業ならではのおもてなしの心が活きている。「何事に対しても思っているだけでは変りません。常に実践することが必要。1人ひとりが行動すれば、大きな成果を得ることができます。それをホテルのサービスだけではなく、省エネ活動にも応用していきたいです」と話してくれた。これを社長自身も実践できるよう、次にやるべきことを書き留めていた。

省エネ意識の源はおもてなしの心

お話を伺ったのは

代表取締役社長 原一臣氏


企業概要
事業内容 旅館
従業員数 40名
所在地 愛知県知多郡

省エネの達人『企業編』でも放映されました!

テレビ番組 省エネの達人『企業編』で取り上げられました。
クリックで動画再生します。(4分00秒)



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