見える化でスケジュール管理、1日の目標決めて行動

東武緑地株式会社 ゆにガーデン[Case219]


見える化がもたらした省エネの成功ポイント

1日の目標を図表で共有し管理
以前は常に空調を入れたまま、扉が開閉するたびに冷気が外に流れ出ていたという同施設。電気を「見える化」し、各施設の使用量やデマンド値を把握したうえで計画を立て、わかりやすく時間ごとの図表にして実行した。その結果、スタッフの意識も徐々に変わり、天気や気温を意識しながら空調・照明・換気のタイミングに気を配るようになった。
・見える化が気付きを生む
・スケジュール表を配布
・滞在時間を考えた温度設定
・閉園中にデマンド値が上昇したことを教訓に

■ 導入効果

導入時期2012年3月(取材時期 2013年4月)
契約電力249kW(2011年)⇒139kW(2012年)
44.1%DOWN!
使用電力量287,322kWh(2011年5月~2011年10月)
⇒ 184,208kWh(2012年5月~2012年10月)
35.8%DOWN!

 ゆにガーデンは北海道夕張郡にある日本最大級の英国風フラワーガーデン。4月末から10月下旬までの開園期間には、サクラ、ユリ、アジサイ、リナリア、コスモスなど、季節ごとにさまざまな花が咲き誇る。園内には庭園のほかレストラン、ショップなどが併設されており、ライブや料理体験などのイベントも楽しむことができる。同施設の省エネを担当するのは副支配人の大西明人氏。「SMARTMETER ERIA」(以下、ERIA)の導入をきっかけに、スタッフの協力を得ながらさまざまな省エネ活動に取り組んできた。


見える化が気付きを生む

「エントランスフロアの冷房は地球を冷やすためにあるようなものだった」とERIA導入前の状況を振り返るのは、ゆにガーデン副支配人の大西明人氏。同施設では入場したお客様がエントランスフロアを通り抜けて、フラワーガーデンに向かう。以前は常に空調を入れたまま、扉が開閉するたびに冷気が外に流れ出ていた。しかし実際には、特に暑い昼頃の時間帯を除けば、空調がなくても適温が維持できる。大西氏は「見える化」による省エネ意識の高まりが、こうしたムダに気づかせてくれたと話す。
 同施設では以前から、広い園内を管理するためには各施設の使用量やデマンド値を把握したうえでの計画的な対策が不可欠と考えていた。そんなタイミングで東京本社ビルでのERIA導入を耳にした。「問題は電力データの通信環境でした。以前、他社のデマンド監視システム導入を試みて、データ通信がうまくいかず断念した経験があったのです」。ERIAで確認したところ、問題なく送受信できることがわかった。大西氏はすぐにERIA導入に踏み切った。

事務所内にSMARTMETER ERIAを設置

スケジュール表を配布

 ERIA導入後、大西氏は「冷房」「照明」「換気」のスケジュール表を作成した。ERIAで確認した使用量をもとに、1日の目標を立て、その数値を例年の来客数や気温に合わせて時間ごとに割り振っていく。「冷房と照明、また換気の時間を施設ごとに決めて各部署に配布しました。ただし目標値はあくまでも目安。少し厳しく設定して、状況に合わせて対応できるようにしています」。
 スケジュール表の配布とともに、各部署での担当者も決めた。「空調・照明のオンオフ、窓の開閉を担当制にすることで、一人ひとりのスタッフに責任感が生まれます。初めはこちらから指示を出すことが多かったのですが、徐々に天気や気温などをみながら、それぞれが判断してくれるようになりました」。
 また、オンとオフを別の担当者にすることも、スタッフ同士がお互いをフォローし合える体制づくりに有効だった。

スケジュール表

滞在時間を考えた温度設定

 電気の「見える化」により省エネ意識を強くもつようになると、これまで何気なく行ってきたことにも工夫が生まれる。開園前は室内にこもった熱を出してから冷房を入れる。設定も入口付近は弱めに、ショップやレストランなどお客様が長く滞在する場所は強めにする。「エントランスフロアは、これまで活用しきれていなかった排煙窓を開けて通気性を向上させることで、空調の稼働時間を短くしました」。また、事務所や休憩室などバックヤードでは、天井の点検口を開けて空気を循環。「熱がこもりやすい天井の温度を下げるとともに、空調室内機への負荷も抑えることができます」と大西氏。
 デマンド閲覧サービスのグラフからこんな発見もあった。同施設では水道のタンクに水を送るポンプが自動設定されており、水量が減ると自動的にタンクを満杯にする仕組みになっていた。しかし実際にはタンクの水量には余裕があり、常に満杯にしておく必要はない。そこで大西氏は自動稼働を止めて、夜間にまとめて水を貯めるよう変更。その分、昼間は電気の量を気にせず、営業に関わる空調や照明を優先的に使用できるようになった。

バックヤードの点検口

閉園中にデマンドが上昇したことを教訓に

 2013年1月24日の深夜、冬期閉園中にも関わらず、通常28kWほどのデマンド値が48kWまで上昇した。寒さのため水道が凍結し、水道管が破裂。管理会社が駆けつけて、すべての照明をつけて施設内の設備に問題がないか点検を行ったことが原因だった。この出来事を教訓に大西氏は「今後はまわりの業者の方々にも、ERIAの取り組みやデマンドの仕組みを知ってもらい、協力を仰いでいきたい」と話す。
 ERIA導入から2年目の開園期間を迎えた。「考えられることは何でも積極的に取り組んできたつもりです。引き続き、前年の活動をベースに、スタッフ全員で継続させていきます。またレストランで使用するオーブンの予熱など、時間調整のきくものはピークの時間からずらして立ち上げるなど、個々の設備の使い方も見直していきます」。さらにはガスや水道代など、電気以外の部分にも目を向けて、総合的な省エネ管理をしていきたいと意欲を見せる。

レストランのオーブン
お話を伺ったのは

副支配人 大西明人氏

企業概要
事業内容 植物園
従業員数 42名(本施設のみ)
所在地 北海道夕張郡由仁町

省エネの達人『企業編』でも放映されました!

テレビ番組 省エネの達人『企業編』で取り上げられました。
クリックで動画再生します。(4分00秒)



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