「今月のことば」…最近話題の環境・エコ・省エネに関することばを解説します。

今月のことば:グリーン・リカバリー

先の見えない新型コロナウイルス感染症と向き合い続けるわたしたち人類。コロナ禍は、わたしたちの生活にさまざまな影響をもたらし、社会のシステムやライフスタイルを大きく変えています。
そうしたなかで、「グリーン・リカバリー」という言葉が注目を集めています。

新たな未来への「成長戦略」

「グリーン・リカバリー」とは、新型コロナウイルス感染症の拡大により後退した景気を、環境を重視した投資などを通して回復させようという考え方です。地球温暖化や生物多様性の保全といった課題解決に向け重点的に投資し、企業業績の拡大や雇用創出を図ります。
単にコロナ前の状況に戻るのではなく、持続可能なよりよい未来・新たな社会を目指す。グリーン・リカバリーは「環境対策」ではなく「成長戦略」と位置づけられています。

この考え方はヨーロッパから広がり、アメリカやアジア各国、日本でも少しずつ動き始めました。EUでは、昨年7月に「次世代EU」と名付けた90兆円規模の経済再生策を打ち出しましたが、その要となるのがグリーン・リカバリーです。風力や太陽光など再生可能エネルギーへの転換に向けた施策を中心に、予算の約3分の1が充てられています。

ヨーロッパの事例と日本の現状

フランスでは、経営難に陥った航空会社への救済策として、資金を融資するにあたり「列車などの代替手段がある2時間半以内の国内路線は縮小すること」という条件を盛り込むなど、脱炭素へ向けた施策が実行されています。
イギリスでは、2020年11月に持続可能な社会・経済構築に向けて「グリーン産業革命」計画が発表されました。具体的には洋上風力発電の推進や、建物のエネルギー効率を高める「Green Homes Grant」政策などを通して、2050年までに最大100万人のグリーン・ジョブの雇用を創出する方針です。
ちなみに「グリーン・ジョブ」とは、「環境に対する影響を持続可能な水準まで低減させながら、事業として採算がとれる仕事」のこと(国際労働機関:ILOの提唱)。風力発電のタービン製造や、高効率建物の建設への従事もグリーン・ジョブの1つです。

日本でも、昨年10月の菅義偉首相の所信表明を受け、2050年の温室効果ガス実質ゼロを目指して、大きく動き始めました。昨年8月、環境省が主導となってグリーン・リカバリーを目指した国際連携プラットフォームを立ち上げ、参加各国との情報共有・オンライン会合などを実施しています。また、コロナ禍での経済再生のための補正予算の一部に、再生可能エネルギーの普及に向けた「脱炭素社会への転換支援事業」50億円が設定されました。
昨年は、日本だけでなく世界的にみても新型コロナウイルス感染拡大防止のためのロックダウンなどが行われた地域が多かったため、二酸化炭素の排出量は減少傾向にありました。これが一時的な動きとなるのか、一気に加速し温室効果ガスゼロへと向かっていくのか。まだまだ始まったばかりの日本のグリーン・リカバリーを、世界の動きとともに注目していきたいですね。

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