「見える化」の重要性を再認識
時間帯に応じた取り組みで省エネを推進

株式会社伊藤園 関西茶業さまの導入事例 [Case 268]

 株式会社伊藤園関西茶業は1976年4月に「株式会社関西茶業」として三重県四日市市で創業以来、茶類の加工・包装・販売などを行っている。生産加工能力の増強と、事業のさらなる発展を目指し、2012年11月に神戸テクノ・ロジスティックパークで新本社工場を開設。それと同時に、SMARTMETER ERIA(以下、ERIA)を導入した。ほかにも、太陽光発電システムの設置やLED照明の導入など、環境貢献にも積極的だ。総務課長 三河内 浩司氏、総務課 前川 哲士氏にERIAを活用した省エネ活動について話を伺った。


見える化がもたらした省エネの成功ポイント

「見える化」が契約電力上昇を防いでくれた
まずはデマンドピークの抑制のために空調の時間差稼働や機器の立ち上げ時間ずらしなどに取り組んだ。太陽光発電を導入するなど、環境負荷の低い事業運営を心がける同社だが、冬の朝、これまでと同様に空調を稼働したところ、急に警報が鳴った。原因は前日の雪が太陽光パネルを遮り、発電していたためだった。「見える化」していたからこそ防げた契約電力の上昇だった。
・工場開設に合わせ、適切な電力監視システムを導入
・「見える化」の重要性を再認識
・デマンドピーク対策は「タイマーの活用」
・今後の課題は時間ごとの目標設定

■ 導入効果■
契約電力 295kW(2012年)→291kW(2013年)4kW削減!
導入時期 2012年11月(SMARTMETER ERIA導入)
営業時間 8:30~17:00(休業日:土・日・祝)

省エネ活動のきっかけ

株式会社伊藤園関西茶業では、旧本社工場時代から電力データの管理を継続して行っており、電気料金のしくみについても担当者間で共有されていた。その経緯もあり、新本社工場開設にあわせて適切な契約電力と目標値を設定することができた。
 「契約電力をオーバーするとその後1年間、割高な電気料金を払うことになりますので、まずはデマンドのピークを抑えることを念頭におき、空調の時間差稼働や、機器の立ち上げが重ならないよう社内で共有しました」と話すのは、省エネ活動を統括する総務課長の三河内浩司氏。そして実務を担当するのが、同課の前川哲士氏だ。「最初は、日本テクノ様の勉強会を通じて、多くの従業員に対しデマンド管理のコツや必要性を伝えました。ERIAからの警報が鳴ったら各部署へ内線をかけ、周囲で使っていない電気を消すよう促し、事務所の集中管理パネルから空調を調整するというルールを確立していきました」。

「見える化」の重要性を再認識

電気の「見える化」の重要性を印象づけたエピソードがある。新本社工場では、開設後すぐに太陽光発電システムを100kW相当導入している。発電状況は順調で、デマンド抑制にも一役買っていた。しかし、ERIAを導入して初めて迎えた冬のある朝、いつものように空調を稼働させると、その時間帯では初めて警報が鳴った。前川氏は慌てて空調を止め、太陽光システムの発電状況を確認すると、前日降った雪の影響で表面が凍結し、発電を妨げていたことがわかった。「そのまま気付かずに空調や工場の稼働を続けていたら、契約電力をはるかに越えていたと思います」。このとき、電気の「見える化」の大切さをあらためて実感したという。

デマンドピーク時の対策

同社は、大きく3部門に分かれており、「製造部門」「出荷管理部門」「事務部門」がある。空調は、部署によって「手動」と「タイマー」を使いわけている。たとえば事務部門では、出勤した順に空調を手動でつけて時間差稼働するのに対し、出荷管理部門の場合は、現場の作業開始と重ならないよう、出勤時間の少し前からタイマーでつけるルールが定着している。
 製造部門では、夏は麦茶、冬は緑茶、秋はほうじ茶といったように、季節ごとに重点生産商品が異なる。とくに夏は麦茶の生産が最盛期で空調稼働とも重なり、電力使用量は高騰する。加えて太陽光の角度が落ちてくる夕方は、発電システムの恩恵を受けられないうえ、休憩時間で食堂の空調稼働とも重なるため、年間を通じて最大のデマンドを記録する。昨夏は、事務所などの空調を何台か止めることで回避できたが、増産が見込まれる今後はより明確なルールづくりが必要となる。

活動の成果と今後の課題について

「省エネ活動が浸透することで、昨年の夏は、空調の設定温度をむやみに下げることがなくなりました。これからも体調管理を優先しつつ、ムダな電力消費を削減するために見回りや声かけは続けていきます」と前川氏。
 今後の課題として三河内氏は、「ERIAは総務課でしか確認できないため、他部署からすると、突然省エネの協力要請が入ります。そのときの状況やどう協力してほしいかを具体的に伝えることで、よりスムーズな対応ができるようになります。また、夏のクールビズは徹底できていますが、冬のウォームビズは自主性に任せていますので、これからの課題です」と話す。
 ERIA導入前に比べ電気の消し忘れは減ったものの、「改善できる部分はまだある」と口を揃える両氏。今後は過去の電力データを参考にしながら、時間帯ごとの目標値を設定し、契約種別の変更なども視野に入れる。これからも電気料金のしくみとしっかりと向き合いながら、省エネ活動を進めていく。

【お話を伺った方】
総務課長 三河内 浩司 氏(右)
総務課 前川 哲士 氏(左)

企業概要
代表者 代表取締役社長 篠塚八榮子
事業内容 茶類の加工、包装、販売等
従業員数 69名
所在地 兵庫県神戸市

取材日:2014年1月

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