急速冷凍倉庫の使い方を見直し
二段階のデマンドピーク対策を実行しました

株式会社後藤孵卵場 美濃かしわ事業本部[Case297]

 株式会社後藤孵卵場は、日本で唯一の純国産鶏である「さくら」「もみじ」の育種や品種改良を手掛ける。岐阜県関市にある美濃かしわ事業本部は、鶏肉の加工・卸売の拠点として、1日に約3トンの商品を取り扱う。SMARTMETER ERIA(以下、ERIA)とSMART CLOCKを利用したデマンドピーク対策と使用量削減の工夫を、本部長の降旗茂樹氏と工場長の田中松男氏に伺った。


見える化がもたらした省エネの成功ポイント

商品の品質を維持しながら機器の稼働時間を変更&短縮!
同工場では大型の急速冷凍庫を午後6時に稼働していたが、ほかの機械や空調の稼働と重なり、電力ピークに達していた。そこで午後7時からの稼働に変更し、ピークの抑制を試みた。また、午前中は商品用のケースを洗う洗浄機の稼働で使用電力量が増えてしまうので、その間製氷機を停止してピークを抑え、使用電力量も改善できた。ほかに作業に必要な地下水の量を見直しポンプの台数を減らすなど、機器稼働の変更や短縮で省エネに取り組んでいる。
・急速冷凍庫の稼働時間を見直し
・ピーク対策第二段を実行
・ポンプの使い方を見直し

■ 導入効果

導入時期2014年7月(取材時期 2015年1月)
契約電力174kW(2013年)⇒ 162kW(2015年)
6.8%DOWN!
使用電力量323,011kWh(2013年8月~2014年1月)
⇒285,166kWh(2014年8月~2015年1月)
11.7%DOWN!

電気代は3大経費のひとつ

 株式会社後藤孵卵場 美濃かしわ事業本部がERIAとSMART CLOCKを導入したのは、2014年の夏。本部長の降旗茂樹氏は当時を振り返りこう話す。「当社にとって電気代は人件費、搬送費とならぶ3大経費のひとつ。大きな割合を占めているという意識はありましたが、2014年4月の電気代の値上がりを受け、本気で低減を考えるようになりました」。日本テクノから電気の「見える化」とともに、デマンドの仕組みについて説明を受け、ERIAを活用した省エネ活動に取り組むことを決めた。
 導入後、工場長の田中松男氏とともに電気の使用状況を確認してみると、意外な気づきがあった。「これまで、夏場に最も電気を使うのは、気温の上がる午後2時前後だと思っていたのですが、実際は夕方6時だったのです」と田中氏。デマンド閲覧サービスのグラフが、これまでの思い込みと実数値の違いを明らかに示していた。

工場のスタッフが見える位置に設置されたSMART CLOCK

急速冷凍庫の稼働時間を見直し

 これまでの作業の流れを振り返ってみると、同社では夕方6時に、加工した商品を冷凍保存するために、大型の急速冷凍庫を稼働させていた。さらに、加工場の生産機械や空調の使用も重なり、これが電力ピークの原因となっていた。
 そこで田中氏は、急速冷凍庫の立ち上げを、加工場の作業がすべて終わる午後7時に変更して、ピークの抑制を試みた。あわせて季節や気温によって稼働時間も見直し。これまでは1年を通して12時間稼働させていたが、夏は12時間、秋は10時間、冬は8時間と微調整する。田中氏は「製品の品質管理が第一ですが、必要以上に時間をかけて冷やし過ぎることもありませんので、様子を見ながら可能な範囲で最適な時間を見極めています」と話す。

電力ピーク抑制のため急速冷凍庫の稼働時間を調整

ピーク対策第二段を実行

 急速冷凍庫の運用方法を見直して夕方6時の電力ピークが抑えられたことで、ERIAの目標値も140kWから125kWに変更した。次なるピークの時間帯は午前10時前後。同社ではピーク対策の第二段階として、工場内の電気の使用状況を見直して、ピーク時には廊下の消灯や、商品搬送用バットの洗浄機を一時的に止めるなどの対策を実行した。降旗氏は「これまで当たり前に電気を使っていた場所も、視点を変えてみることで、ムダづかいに気付くことができました」と話す。さらに、当初は午前10時のピーク時にのみ止めていた製氷機は、半日の稼働で、翌日一日に使用する氷の量を生産できることが判明。稼働時間を午後から翌朝までに限定している。
 省エネの工夫は加工場だけでない。事務所では、冬場は空調をやめて、石油ストーブを採用。持ち運び可能なストーブを使って、必要な時に必要な場所だけを集中的に暖める。また食堂にある従業員用のポットも、以前は朝から電源を入れていたが、現在はお昼の少し前に電源を入れることがルールとなった。

稼働時間を短縮した製氷機でできた氷

ポンプの使い方を見直し

 降旗氏はERIAを活用した省エネ活動を振り返り、「当初、デマンドの仕組みには驚きましたが、同じ量を使うにしても平準化することでピークの値を抑えることができます。また、そうした取り組みが社内全体の意識づけとなり、使用量低減のアイデアや協力につながりました」。
 同社では新たな取り組みとして、地下水を汲み上げるポンプの使い方も見直した。これまで2台のポンプを24時間稼働させていたが、現在はタイマーで夜間(夜7時から朝7時)は1台を止める。夜間にどうしても水が必要な場合は、もう1台のポンプでまかなうことができるので問題はないという。また外灯の点灯場所も見直して、4ヵ所だったところを、必要最低限の2ヵ所にしている。
 今後は社内の照明をLEDに入れ替えるなど、徐々にではあるが設備改善も視野に入れ、これまでの省エネ活動を継続していく考えだ。

設備改善も視野に入れて省エネ活動に取り組む同社

お話を伺ったのは

工場長 田中松男氏
本部長 降籏茂樹氏


企業概要
事業内容 鶏肉の処理加工
従業員数 30名
所在地 岐阜県関市

省エネの達人『企業編』でも放映されました!

テレビ番組 省エネの達人『企業編』で取り上げられました。
クリックで動画再生します。(4分00秒)



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