インカムによる情報共有で省エネ
完全なルール化ではなく臨機応変な対応がポイント

リーファ・ナカガワ[Case330]

 石川県白山市にリーファ・ナカガワの店舗を構える株式会社ベスト家具。家具だけではなく雑貨も取り扱う、トータルコーディネートが楽しめるインテリアショップだ。家具の製造から創業した経験を活かし、仕入れ商品の品質を見極め、国内規格製品を主体に商品を構成している。お客さまが具体的にインテリアをイメージできるように魅せるには、通常の照明だけではなく、ディスプレイ用ライトの点灯が有効。しかし約1,200本の店内照明にくわえ、商品のライトも使用することは省エネと逆行する。営業スタイルを変えずに行う省エネ活動についてインテリア家具事業部 事業本部長の土橋勉氏に話を伺った。


見える化がもたらした省エネの成功ポイント

インカムを使った情報共有がカギ!チームワークで省エネ実現
 同店では通常の照明にくわえ、取り扱うインテリア商品を美しく見せるために多くの照明を使う。そこで使用電力量低減のため店内の1,350本の照明をLED化した。くわえて照明のスイッチには大きさの異なる色分けされたシールを貼り、ルールを決めて細かく調整した。また、空調の設定温度についてはインカムで共有。高い省エネ意識をもつ全てのスタッフの協力で快適な環境づくりと省エネを両立している。
・経営の見直しがきっかけ
色と大きさで分ける照明ルール
・インカムを使ったチームワーク

・メリハリのある省エネ活動

■ 導入効果

導入時期2012年7月(取材時期 2015年8月)
契約電力227kW(2012年)⇒171kW(2015年)
24.6%DOWN!
使用電力量481,129kWh(2011年10月~2012年9月)
⇒332,210kWh(2013年10月~2014年9月)
30.9%DOWN!

経営の見直しがきっかけ

 2002年、代表取締役として中川幸雄氏が事業を承継し一部経営の見直しがなされた。そのなかで検討対象となったのが電気料金。以前は、1ヶ月あたりの電気料金について特定のスタッフにしか周知されていなかった。しかし、「実際に電気代を目の当たりにすると、あまりの高さに驚きました。それと同時にこのままではいけないと心を突き動かされました」と土橋氏は当時を振り返る。2000坪の敷地に建つ4階建ての店舗では、12台の空調と1,350本の照明を使用。中川氏は経費削減を会社全体の課題として取り組むため、情報をオープンに。省エネ対策には電気の「見える化」が有効であると、SMARTMETER ERIA(以下、ERIA)の導入を決めた。

2000坪の敷地に建つ4階建ての店舗

色と大きさで分ける照明ルール

 まずは、店内の蛍光灯やスポットライトをLED照明化。社長自らがインテリアの展示会に出向き、他社が使用する設備や仕組みなど、良いものを吸収して取り入れた。同時に配線を組み直しスイッチを分散したことによって、より細かに照明を調整できるようになった。スイッチには、大きさの異なる色分けされたシールを貼付。平日、休日で使用する照明が色分けされ、大きさは優先順位を示す。「基本的には17時過ぎから間引きを始めますが、日々来店状況は異なりますので、時間単位のシール分けは行っていません。スタッフの臨機応変な対応が重要となります」と、細かなルールのなかにもお客さまへの配慮がうかがえる。

色分けされたシールが貼られた照明のスイッチ

インカムを使ったチームワーク

 土橋氏の日課は、店舗向かいにあるビルの電子掲示板で、そのときどきの気温をチェックすること。空調は夏場が26度、冬場を20度に設定しているが、電子掲示板が示す温度によって「本日は暑いので、空調を調整してください」とインカムで指示を出す。スタッフ独自の判断で温度調整は行わないルールを定めているため、同社ではインカムが必需品。来店状況などもその都度共有し、省エネ活動にも役立てている。また、以前は開店前にすべての空調を同時に稼働させていたが、9:20→1階、9:35→2階、9:50→3階と、立ち上げる時間をずらすことでピークを回避した。立ち上げの間隔は、1年間ERIAの表示の変化を見ながら確定させた。

店舗向かいビルの電子掲示板

メリハリのある省エネ活動

 同社ではアルバイトを含め、すべてのスタッフに省エネ意識が定着している。「お店の1日の電気代は、みなさんの家の1ヵ月分」という声掛けが土橋氏の口癖となった。スタッフが自身に置き換えて考えられるように伝えると、協力的に取り組んでくれるという。「一人が省エネを心掛けても何も変わりません。会社全体で取り組み、マナー意識を向上させることに意味があります」同社はインテリア商品を販売するサービス業。お客さまに買い物を楽しんでもらうには、商品を魅力的に見せることと、店内の環境を整えることが必要である。「あまり極端な省エネは行わず、今後もできることから少しずつ取り組んでいきたいです」と話してくれた。

店内の環境を整えながら商品を美しく見せる

お話を伺ったのは

インテリア家具事業部事業本部長 土橋勉氏


企業概要
事業内容 インテリア、雑貨、家具販売、リフォーム事業
従業員数 24名
所在地 石川県白山市

省エネの達人『企業編』でも放映されました!

テレビ番組 省エネの達人『企業編』で取り上げられました。
クリックで動画再生します。(4分00秒)



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